みすみの花が開くとき
肩を叩かれる。

振り返ると、柾が居た。



「誠。放送部はどうした?」

「今、先輩がやってる」

「あ?雪は?」





柾には、佐橋の事は話さない方がいいかもな。


「急に先輩が乗り込んで来て、仕事がなくなった」


説明になってるか?


「それだけじゃねぇだろ?」


言葉に詰まる。


本当、判り易いって損。


「…お前こそ、英兎はどうしたんだよ?」

「知るか。で、雪は?

さっきのは、雪を放っぽっとく理由にはなんねぇだろ」


口の中で舌打ち。


逃げ道は?


「ちょっと色々有って、落ち着くのを待ってる」


柾は眉間に皺を寄せた。


「何が有った?」


…無いな。


「佐橋が…」





柾は駆け出した。


あのアホ、最後まで聞け!





柾を追って駆け出した。

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