みすみの花が開くとき
総合体育館裏。


先ほどと違っていたのは、壁に背を寄せている人物が胸元を掴まれている事─

その人物の顔が腫れ始めている事─

その人物が義成である事─

義成と向かい合っている人物の顔に鬼のような皺が寄っている事─

義成と向かい合っている人物が柾である、という事だった。





「柾!止めろ!」

「お前は引っ込んでろ!」


口の中で舌打ち。

柾の肩を掴む。





「柾、落ち着け!こんな事をして、何になる?」

「何にもなんねぇよ!

ただ、雪を泣かせるヤツは許さねぇ、そんだけだ!」

「なんで、花月さんが泣いてるって知ってる?」

「英兎に聞いた。今、それが大事か?あぁ?」

「そんな事して、花月さんが喜ぶか?あ?」





柾が手の力を抜く。

義成が崩れ落ちた。





「…何も知らねぇクセに…」


吐き捨てて、柾は背を向けた。

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