みすみの花が開くとき
冬なら薄暗くなり始まる頃、雪の震えは治まった。

雪は顔を上げた。

手を引っ込める。





「…近衛くんって、…暇人さんですね」


苦笑。


「花月さんが居てって言うから…」

「…居てくれないっていう選択肢も有りましたよ?」

「無いよ」


白い花が揺れる。





言ってもいいのだろうか、『好き』、と?





『言いたい事は、ちゃんと言いなよ?』





高杉先輩。それ、難しいんスね。


深呼吸。

雪は不思議そうな目をしている。

深呼吸。


ヘタレめ。


深呼吸。

深呼吸。


…よし。腹、くくれ。



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