彼は
『今日初めて私のことをママと呼んでくれた!とても嬉しかった』

『夜泣きがひどくてあまり眠れない。いっぱい泣いて強く育ってね。ママは頑張るよ』

『今日から離乳食。口には小さな歯が生えてきてた。なんだか嬉しい』

『最近笑うことが増えてきた』

『口数が増えてきた。必死で私に何かを伝えようとしてくれてる』


数々のメッセージは間違いなく、母から私に送られたものだった。
私は愛されていた。
いつから、家族は壊れたのだろう。
だからといって悲しくはならない。
私が母から受けた仕打ちはとても酷く、私の心に黒いモヤを残した。
このモヤは消えないだろう。
多分、一生。


「今更遅いよ、お母さん」


薄く笑って、読み終わらない手帳をゴミ箱に投げ捨てた。
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