彼は

「菜々美、おはよう」


私の名前を呼んで、笑顔を向けてくれる彼。
そんな彼に私も笑顔を向ける。
幸せを感じる瞬間だった。


「夏目君、朝ご飯作るけど何か食べたいものある?」
「菜々美が作るものならなんだっていいよ」


台所に立ち、ベーコンと卵をフライパンで焼き始める。
フライパンに蓋をし、その間にオーブントースターでパンを焼く。
いつも両親のために行っていた事が今は自分と夏目君のため。
そんな何気ないことまでもが嬉しさの対象となる。


「夏目君は卵は半熟と硬めどっちが好き?」


リビングのソファから台所にいる私を先程からずっと見つめている彼に声をかける。
見られているとやり辛いのだけれど。


「半熟が好きかな」
「わかった。夏目君、待ってる間テレビでも見てなよ」
「テレビなんかよりも菜々美を見てたいんだ」


一々私の顔を熱くさせるようなことを言う彼。
思わず目を逸らした。
< 112 / 112 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:12

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

ColorLess
sachii/著

総文字数/13,553

恋愛(その他)23ページ

表紙を見る
おばあちゃんが死んだ日
sachii/著

総文字数/7,535

ノンフィクション・実話27ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop