彼は


――――――……。


「夏目(なつめ)」

彼の名前を呼ぶ。
それだけで彼はこんなにも嬉しそうに笑う。

「何?」
「好き」


「どうしたの、突然」なんて、また嬉しそうに笑う彼。
シャワーを済ませ、二人用のソファに腰掛けながら私の髪を彼がドライヤーで乾かしている最中のこと。


「夏目がどんなに汚れても、夏目が私を嫌っても、私はずっと好きだから」


勿論彼が私を嫌うことなどありえないとわかっている。
自惚だと笑う者はいない。
それは事実なのだから。
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