彼は

どうして私から何もかも奪おうとする。
どうして私を傷付ける。
私の気持ちは、どこへ行くの。

お母さん、もう一緒に居たくない。
お願いだから解放して。


「そうだなぁ。こんなに邪魔になるなら産まなければ良かったのかな」


微笑んで、母は言った。
本当は否定して欲しかったのかもしれない。
何故なら私は今、初めて母に対して殺意を抱いたから。
“死ねばいいのに”


「うあぁ……っ」


声にならない叫び。
その場に蹲って唸った。
母は相変わらず笑っている。
そうやって、いつも私を見下しているよね。


「じゃあ出掛けてくるから」


それから数分後。
母は出掛けて行った。
二度と帰って来なければ良いのに。
そしたら自由になれるのに。
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