君との距離は1メートル 【完】
誠が目を見開いて驚いた顔をした。
「まぁ、別に嫌なメンバーではないし「俺も行きたい!」
ばっと右手を上げて目を輝かせている誠に今度は俺が目を見開く。
「誠こいつらと面識ねーじゃん!」
「いいじゃん!杏奈ちゃんも見てみたいし」
ニッと笑う誠にはぁ、とため息をつく。
どんだけ杏奈ちゃんが気になるんだよ。てか杏奈ちゃん見たさに来んのかこいつ…。
『俺の友達も1人いい?』
そう打って送信する。
「あ、このトプ画もしかして本人?」
「あ、こら!」
誠がひょいっと俺のケータイを奪いとり画面をいじる。手を伸ばして取り返そうとしたけど避けられてしまった。
「え、ふ〜ん。まぁ普通の子だな。もっと可愛いんだと思ったわ」
ほい、とケータイを突き返してきた誠に一発ゲンコツをお見舞いした。
「いて!なにすんだよ!」
誠が頭を抑えながら涙目でこっちを睨みつける。
「失礼なんだよ!お前は!」
俺は杏奈ちゃんのトプ画が大きく写った画面にめをもどす。
おそらく友達であろう女の子とのツーショット。目が丸くてえくぼができている。普通…よりは可愛いだろ。
誠は普通と言って興味が無くなったようだ。
なぜかホッとして安堵の息が漏れる。
いや、なぜホッとしたんだろ?
きっと興味を持ったら杏奈ちゃんについてまたうるさく言われるから、それがなくなって安心したせいだ。
俺はまた杏奈ちゃんからの返信を待ちながらパンを一口かじった。