君との距離は1メートル 【完】
「作戦ってなん「とりあえず!家に入れてもらえない?だめ〜?」
なんの?と聞こうとした時奏子が手を合わせて甘えた声でおねだりをしてきた。
絶対入れてもらおうと思って来てるな、こいつは。
「はいはい、上がっていいよ」
しょうがなく2人を家に上がらせる。
「やった!さすが杏奈」
なにが流石なんだろう…。本当、奏子には疑問が尽きないわ。
とりあえず私の部屋に2人を案内してお茶をお盆にのせてまた部屋に戻る。
「で?作戦って?」
私はテーブルにお茶を並べながら奏子と愛巳に聞く。
「そうそう!作戦ね!」
まるで忘れていたかのような発言。なんのために家に来たんだ…。
奏子がコップを持って一口飲むと、愛巳を指差した。
「愛巳と光君くっつけよう作戦ね!今日はそのために遊ぶと思ってちょうだい」
「は、はぁ…」
奏子らしいネーミングセンスの作戦は、奏子曰く、光君と愛巳の距離を少しでも近づけてあげようということだった。
「確かにいとこだから十分近い距離だけど、そうじゃなくて心の距離を近づけていこうっていうことね!」
意気込む奏子に愛巳が苦笑する。
「あたしが全然恋愛対象として見られてないの丸わかりじゃん」
笑いながら言う愛巳だけど、そういった時に不意に見せた悲しそうな顔は見間違いなんかではないはず…。
私はぐっと唾を飲み込んで、
「応援してるから、頑張ろう!」
と愛巳に明るく言った。