君との距離は1メートル 【完】
「え!そうだけど…なんで知ってんの?」
「え?!杏奈の家って光と隣なの?!」
私よりも驚いた顔をした誠君がこっちを向いた。
「うん。で、なんで?」
私は誠君に頷いてまた須藤君に目を移す。
「光からきいたんだよ!引っ越してきた子がいるって」
「あ、なるほどね…」
そりゃ引っ越してきた人がいたら友達にくらい報告はするか。
「私も光君のこと話したらみんな知っててびっくりしたんだよねー」
「あー光人気もんだからな」
須藤君がしみじみと腕を組んでそう言う。
ちらっと光君を見ると、目を丸くしてこっちを見ていた。
な、なにをそんなに驚いた顔してるんだろう。
しかも、私と目が合ってるはずなのにぴくりともしない。
「光!どーしたの?!」
隣にいた愛巳が気付いて光君の腕を叩く。
それでやっと光君の体がビクッと動いた。
「あ、いや、そんなにすぐに俺だってわかったなんてすげーなーって」
「なにそれ」
愛巳がにっこりと笑って光君を見る。
光君も頭をかきながら愛巳を見て笑う。
ー痛い…
胸にチクリとトゲが刺さったような変な痛みが急にきた。
それに、なぜかモヤモヤと変な物が心の中でうごめいている。
なにこれ…。気持ち悪っ!