君との距離は1メートル 【完】




「いや、今丁度光の家の前で会った。初めまして感半端なかったんだけど」



誠同士で苦笑しあっている。


「そっか。中入っていいよ。丁度お茶入れてるから一緒に部屋行こうぜ」





2人を中にいれて俺はリビングに2人分のお茶を入れに行く。




「あれ?もう女の子たちきてんのな」



誠(須藤)が玄関に綺麗に並べられた女物のヒールなどの靴を見て言う。



「そー、綺麗に並べてくれてんだから汚くすんなよー」





しねーよ!


という誠(須藤)の声を無視してコップの並べられたお盆をもって2人の元へ行く。




「お前ら誠同士めんどくさいんだけど。どっちか苗字で呼びたい」



そう。さっきから思ってたけど2人とも『まこと』だし、しかも漢字だって2人とも『誠』だ。



さっきから本当に面倒くさい。大体喋ってんのは須藤の方だけど…。






「そしたら俺の事マコって呼べば?中学の時とかマコって言われてたし!」




「それ初めからいえよ…」




突然の誠(須藤)のカミングアウトに肩を落としながらも3人で階段を上がる。




ガチャっとドアをあけて中に入る。
すると一斉に中で喋っていた3人はこっちを向いた。


「柴田君!おはよー!」

細川が手を振りながら誠(柴田)に挨拶をした。


「おはよう」

誠の返す声を聞きながら中に入ってお盆をテーブルの上に置く。


「おはよう」



コップを並べている途中にもう一度誠の声を聞いた。



誰に言ったんだ?

顔を上げて誠の方を向くと

「あ、おはよう」


小さく杏奈ちゃんの声が聞こえた。




< 118 / 384 >

この作品をシェア

pagetop