君との距離は1メートル 【完】
「いや、今丁度光の家の前で会った。初めまして感半端なかったんだけど」
誠同士で苦笑しあっている。
「そっか。中入っていいよ。丁度お茶入れてるから一緒に部屋行こうぜ」
2人を中にいれて俺はリビングに2人分のお茶を入れに行く。
「あれ?もう女の子たちきてんのな」
誠(須藤)が玄関に綺麗に並べられた女物のヒールなどの靴を見て言う。
「そー、綺麗に並べてくれてんだから汚くすんなよー」
しねーよ!
という誠(須藤)の声を無視してコップの並べられたお盆をもって2人の元へ行く。
「お前ら誠同士めんどくさいんだけど。どっちか苗字で呼びたい」
そう。さっきから思ってたけど2人とも『まこと』だし、しかも漢字だって2人とも『誠』だ。
さっきから本当に面倒くさい。大体喋ってんのは須藤の方だけど…。
「そしたら俺の事マコって呼べば?中学の時とかマコって言われてたし!」
「それ初めからいえよ…」
突然の誠(須藤)のカミングアウトに肩を落としながらも3人で階段を上がる。
ガチャっとドアをあけて中に入る。
すると一斉に中で喋っていた3人はこっちを向いた。
「柴田君!おはよー!」
細川が手を振りながら誠(柴田)に挨拶をした。
「おはよう」
誠の返す声を聞きながら中に入ってお盆をテーブルの上に置く。
「おはよう」
コップを並べている途中にもう一度誠の声を聞いた。
誰に言ったんだ?
顔を上げて誠の方を向くと
「あ、おはよう」
小さく杏奈ちゃんの声が聞こえた。