君との距離は1メートル 【完】








「杏奈ちゃんって光の隣の家なんだっけ?」




え?







戻ってきたとき、誠(須藤)が杏奈ちゃんにそう聞いていた。




というか、会ったばかりで「杏奈ちゃん」っておかしいだろ!


まぁ、俺がいつも誠に話すときにそう言ってるから仕方ないか…。




杏奈ちゃんの隣は細川と誠(柴田)で埋まっているため空いていた愛巳と柴田(須藤)の間に座った。



はぁ…。俺も杏奈ちゃんの隣が良かった。





心の中でため息をついて気づかれないように誠(柴田)を軽く睨む。





「え!そうだけど…なんで知ってんの?」


杏奈ちゃんが目を見開いて誠(須藤)の方を覗く。



それは俺が喋ってるからです。


心の中で一応?ごめんなさいと謝る。



「え?!杏奈の家って光と隣なの?」






そうなんだよ。杏奈と隣…














は?




隣なのを心の中で自慢してたが誠(柴田)の発言で我に帰る。





「杏奈」?なんで呼び捨て?




自分でもこれ以上開けないというくらい目を見開いて誠(柴田)を見る。




隣という事に驚いた顔をしてるが隣の子を見る目は俺から見てもわかるほど



暖かくて優しい…。








ぎゅっと胸が締め付けられるような感覚。

誠から目を離して杏奈ちゃんを見る。



杏奈ちゃんはもう誠(柴田)から誠(須藤)に目を移していた。








なんで…?なんで?


モヤモヤとした霧のような物が心の中に広がる。






誠のその目は…






俺は分かるんだよ。俺がその目を向けられたことがあるから。







きっとその目は恋する目…。
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