君との距離は1メートル 【完】
「それじゃ、ホームルームを終わります」
「起立、礼」
さようならー
いつも通り、ホームルームを終えてクラスの皆んなはそれぞれ散らばる。
「また明日ね、愛巳!」
「うん!また明日!」
部活のある愛巳は音楽室に向かい、
私は奏子の元へ向かった。
「かえろ!奏子」
「うん!かえろ!」
私たちもいつも通り学校を出て下校する。
今日の授業の事。クラスの事。大抵はそんな話しかしないけど今日は文化祭の事が話題になった。
「知ってる?青葉の文化祭の次の週は林丘の文化祭あるんだよ」
「そーなんだ!」
今日の夜に光君に聞いてみようかなー?
そんな事をちょっと考えてると、奏子が
「だ か ら!」
と付け足した。
「3人でいこーよ!林丘の文化祭に!」
3人って…私と奏子と愛巳か!
「いいねー!光君と須藤君に会いたいもんね!」
「うん!あっちもさ、青葉の文化祭来て欲しいよね〜!特に光君には!」
どうして光君なんだろう?
「愛巳をうんとオシャレさせて光君に見てもらわなきゃ!いつもと違えばドキッとするかもしょ?」
そういうことか。
私の心を見透かしたように奏子は付け加えた。
「そー…だね」
愛巳のため。当たり前か。
なぜか心が痛む感じがして胸のあたりに手を当てる。
「ねぇ」
「うん?」
奏子がこっちをまっすぐ見てきた。
いつもとは違う真剣な目だ。