君との距離は1メートル 【完】
時刻は21時ちょっと前。
私は部屋着にパーカーを羽織ってベランダに出た。
さっむ!!
11月は本格的に夜は冷え込むし、日中だってあったかくは無い。
早くこないかな…光君。
はぁー、と白い息が目の前に広がる。
「杏奈ちゃん!またせた?」
ガラッというベランダの窓が開く音と同時にその人の声は聞こえた。
「ううん。そんな事ないよ!そっち行くね!」
私はいつも通り、ベランダの間を飛び越えて光君の家のベランダに飛び移る。
毎日交代で相手の部屋に入ったりして、だいぶジャンプ力がついたんじゃないだろうか。
「ほら、中入って」
そっと光君の手が左側から私の右肩にかすかに触れて中に入るのを促す。
どうしてだろう…。
胸が、ドキドキする…。
緊張する。でも、嫌じゃない。
「杏奈ちゃん?顔、赤いけどどうかした?」
「え!?なんでもないよ!」
中に入っだときに光君が不思議そうな顔で私を見た。
どうして、顔が熱くなるの?!
パタパタと手で顔を仰ぎ熱を冷ます。
外は寒いはずなのに…。
「ココア持ってきたんだ。座って」
光君はテーブルにココアの入れてあるカップを2つ並べてくれた。
「ありがとう!!最近ココアが多いよね。私ココア大好きだから嬉しいんだけど」
「うん。杏奈ちゃんココア好きそう」
ゴクゴク、とココアを飲む私をおかしそうな目で見ながら光君は優しく言った。
さぁ…本題だ。
ゴクリ、と生唾を飲み光君の方を見る。
キョトンとした顔でこっちを見る光君。
「光君さ、青葉の文化祭こない?」
「文化祭?」
うん、と頷いて私は続ける。