君との距離は1メートル 【完】
「全然笑い事じゃないんだけど」
口を尖らせて低い声で言う。
「1番って学校でって意味だよ。本当の1番はー」
え?
という顔をする光君にとびきりの笑顔で
「本当の1番は光君だよ!!」
って、私は勝手に思ってるし
それがいいのかよくわからないけど
でもきっと
いいってことだよね?
「え、あ、そうなの?!なんで…」
「光君顔真っ赤だよー?」
本当、照れてるのか顔が赤く染まっている。
手のこうで口のあたりを隠すけど、もうバレバレだよ。
「何でって、学校では誠君が1番だけど本当の1番はこうやって毎日会ってる光君だよ。じゃなきゃおかしいじゃん?」
「そう…なのかな?」
「そうだよ!!」
えへへ、と安心したようにいつもの顔で笑う光君。
「プラネタリウムは…愛巳とか誘ってまた今度2人で行こう?」
「そうだね。そうするか!」
本当は2人がいいのに…。
でも…愛巳を差し置いてそんなこと出来ない。
ギュッと胸が締め付けられるように苦しくなった。
今夜も10時ごろまで喋って私は帰った。
1番仲のいい男の子は光君。
間違ってないのに。
どうして苦しいんだろう…。
愛巳への後ろめたい気持ち?
違う。
もっと複雑で、まだ分からない。
私は今日もまた、モヤモヤしながらベッドに入った。