君との距離は1メートル 【完】
「そっちもってー!」
「それはあっちだよー!」
文化祭を明後日に控えた木曜日。
今日と明日は全日文化祭準備となる。
私のクラスでは迷路にするため机が教室の中にごった返している。
「ねぇ!杏奈!その色ペンとってくれない?」
「あぁ、うん!
えい!」
問題をダンボールに書いてる愛巳に向かってペンを投げる。
「サンキュー!」
私はというと…
「杏奈!もっとそっちあげて!」
クラスの看板をそとの壁にくっつけるためかれこれ5分も看板を持ったまま腕をあげた状態になっている。
そろそろつらいよぉぉ~~!
「明美ちゃーん!腕がー!!」
「はいー?!弱音なんて履いてる暇ないよ!」
実行委員の明美ちゃんにピシャリと言われて口を閉じる。
痛いものは痛いもん!!
「杏奈、変わろうか?」
「え?…」
後ろから腕が伸びてきて看板を支える手が増えた。
この声は…
「誠君!ありがとう!」
上を見上げて誠君に言う。
少しだけ看板を持つのを任せて腕を下ろす。
「疲れた〜。助かったよ」
「小さいと大変だよな」
クスッと馬鹿にした様に笑うからムッとした。
そんな小さくない!!157か158位だわ!!!
「そんなに小さくないですー。明美ちゃんと同じくらいだよ?」
まだ看板を微調節する明美ちゃんを指で指す。
「そお?145位じゃない?杏奈は」
空いてる方の手で
ポン
と頭を叩かれる。
「はぁ?!そんな小さくないって!157位!てか誠がー!」
はっとして口をつぐむ。
きょとんとした顔で誠君が見下ろしてくる。
「どうした?」
「あ、ごめんね。勢いでつい呼び捨てしちゃった。気づいてなかった?」