君との距離は1メートル 【完】
「うん。あたしだよ!」
毎日話してるはずなのにドキドキと胸が高鳴る。
「文化祭日曜日が一般公開だよね?日曜日行くから!」
画面の向こうで光君が笑う。
「うん、楽しみにしてるね!」
バイバイと手を振って私は画面から離れた。
「杏奈」
後ろの方から画面を覗いていた誠…君が私を追いかけてきた。
愛巳と奏子はまだ通話しているみたい。
「どうしたの?」
「日曜日、一緒に回らない?もちろん愛巳とかも一緒で」
「え、ああ、全然いいよ!誠君が良ければ!」
突然何を言うかと思えばそんなこと。
「ありがと。それと、誠でいいから!」
人差し指をたててちょっと咎めるように見下ろしてくる。
「えー…そお?」
まだ若干抵抗があって素直に「誠」なんて言えない。
「いいんだよ!俺がいいって言ってるんだから!」
どうしても引いてくれない、と言うか押してくる誠君。
「う~~~…わかった!誠!」
恥ずかしさで顔が熱くなる。
きっと赤いだろうな…。
「うん、よろしく杏奈」
へらっと嬉しそうに笑う誠は、そのままサッカー部の人達のとこに行ってしまった。