君との距離は1メートル 【完】
ちょっ!なにそれ?!
それだけ言わせてどっかへ行ってしまう誠にちょっとだけムカついた。
文化祭の準備も進み、下校時刻になった。
今日と明日は愛巳も部活がないらしい。
「初めて3人で帰れるねー!」
奏子が嬉しそうに笑って私と愛巳の顔を交互に見る。
「そうだね。なんだかんだ言って初めてか!」
「どっか寄って帰ろーよ!」
奏子の提案で私達は大通りの雑貨屋によることにした。
何かお揃いの物を買おうと前から約束してたし。
「これ!これ可愛い!」
雑貨屋に入って物色していると愛巳が珍しく興奮した声で駆け寄ってきた。
「なになに?」
奏子と一緒に愛巳の手の中にあるものを覗くと
ピンクの桜のストラップだった。
本当にシンプルで桜の花が2つついてるだけのストラップ。
「これじゃダメ?」
いつもなら見せない困り笑顔。
「あたしこれでいいよ」
私もこれ可愛いと思うし。
「あたしも!」
奏子も賛成したところで
私達のお揃いは桜のストラップに決定した。
それを買って早速それぞれのスマホにつける。
「嬉しい。お揃い…」
ポツリ、と呟いた私の言葉にコクン、と2人も頷いてくれる。
「明日も頑張ろうね」
「「うん!」」
愛巳の言葉に私と奏子の返事がハモる。
一瞬、顔を3人で見合わせて
ぷっ
と吹き出して笑った。