君との距離は1メートル 【完】
「え、え、…
ええ話や~~~~!!!!」
突然の声にギョッとして奏子の後ろを見ると須藤君がおいおい泣いていた。
しまった!この人忘れてた!
一気にサァーっと血の気が引いてく。
光君の事好きとか違うとかそんな話し全て聞かれちゃって、どうしよう…。
奏子も同じ気持ちなのか顔色が悪い。
「女の子は大変だなぁ?!恋にそんなに熱くなれるなんてすげーよ!」
うんうん、と頷いて奏子の肩をポンポンと叩く。
「はぁ?!あんたこの事光君とか愛巳にバラしたらぶん殴るから!」
奏子はバシッと須藤君の手を振り払ってキッと睨んだ。
「ばらさねーよ。ただ、いい事教えてやる。
光には好きな奴いるよ」
え…?
好きな…人…ってこと?
「誰かはもちろん言えないけど、それだけ」
淡々と喋る須藤君は凄いこと暴露したくせにまだかな~なんて呑気なこと言ってるし。
光君の好きな人…
誰だろう。でも、思いつく人なんて一人しかいない。
私は向かいのクレープの屋台に並ぶ3人を見る。
光君を見上げて幸せそうに笑う
可愛くて女の子として完璧なあの子。
あの子しかありえない。
奏子をちらっと見ると、私と同じように
愛巳を見ていた。