君との距離は1メートル 【完】









「いただきまーーす!」







私達は校舎裏にてさっき買ったたこ焼きとクレープを食べていた。




もちろん光君の隣は愛巳で、愛巳の隣に私、誠、奏子、須藤君の順番で使われなくなった花壇に腰掛けていた。






校舎裏だから日陰になっていてちょっと寒いけど。





「美味しいね!このクレープ!」



「だよな。杏奈のはチョコ?」



誠に話しかけると、誠が私の持っているクレープを覗いてきた。


クレープにはチョコソースやアップルソースがあったらしくて私はチョコソースを選んだ。


誠はアップルソースらしいけど。






「うん!アップルソースも美味しそうだね~」


本当はどっちも食べたいけどお金もそんな持ってきてないし…。




「半分ずつで交換しない?俺もチョコソースてべてみたいし」





な、なんて名案!


今日は誠が冴えてる日だ!


「うん!交換ね!」


ラッキーと思いつつ誠とクレープを交換する。


それを見ていたのか、愛巳も


「光ー、うちらも交換しようよ!あたしもチョコ食べたい!」


と光君にお願いしていた。




「あ、ああ…うん。いいよ…」




こころなしか光君の声が元気じゃない気がしたけど…声だから勘違いかな?





私は貰ったアップルソースのクレープも平らげてゴミを捨てに表に回ろうと立った。



「俺も行くわ。ついでにトイレ行きたいんだけどいい?」



ちょっと恥ずかしそうに笑う誠。



「あはは、別にいいよ!」



トイレを気にするなんて面白いなと思って笑ってしまった。


「俺も行く!」


光君も立ち上がってこっちに来た。




「あ、あたしも!」


光君がたったから、愛巳も立ってこっちに来た。



皆でトイレか…。


異様な光景だな。





奏子と須藤君はその場に置いて4人でゴミ捨てとトイレに向かう。





「あ、私は別にいいや。トイレは」



「あたしも」



私と愛巳は残って男子トイレのそばで待つことにした。




まぁ、愛巳は光君についてきただけだからそうなんだけど…。


「俺もなんか行きたくなくなったからいいや」



と光君が言ったので誠だけトイレに行くことになった。



ちょっと恥ずかしそうな誠を3人で見て笑いそうになったけどこらえた。




「な、愛巳」



誠がトイレに行ってすぐに光君が喋った。


「誠頼んだ!ちょっと杏奈かりるって言っておいて」



「「は?」」




私と愛巳の声がハモったと思ったら


ぐいっと手を引っ張られた。




「また連絡するから!誠によろしく!」





光君は私の手を引っ張って走り出す。




「え?!待って光!!!!」




後ろから愛巳の叫ぶ声が聞こえる。



「頼んだーーーー!!」



光君は振り向かずに私の手を引っ張って廊下を走る。




「なんっー光!!待ってよ!ひかるっっーー!!」




振り向いてた時に愛巳が


苦しそうな顔で叫んでいるのが見えた。









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