君との距離は1メートル 【完】
手をひかれるがままに階段をかけ降りてもう一度中庭に出る。
「はぁ、はぁ、
光君速すぎーー!」
私何も運動してないんだから、サッカーやってる人と一緒にしないで欲しい。
「ああ!ごめん!」
光君は掴んでた手を離してペコッと謝る。
「ふふっ…
別にいいよ!」
怒る気なんてもちろんない。
むしろ嬉しい。
まるで王子様がどこかに連れ出してくれたみたいな気分。
でも、その王子様がほかの誰かだったら?
「ごめん、誠と一緒にいたいのも分かるけど、全然話す機会なかったから」
困った顔でそんなことをいう光君。
ううん。一緒にいたいのは光君だよ。
なんて、言えないけど。
連れ出してくれるのは光君がいい。
愛巳への罪悪感もあるけど、
お願い、今だけ私に光君をかしてください。
「ううん。行こう!」
暖かくて、ドキドキして、心が弾む。幸せで一杯の今…。
奏子
あなたの言う通り
私は光君が好きみたい。