君との距離は1メートル 【完】
「光っ!!杏奈っ!!」
焼き鳥を買って二人で食べていた時
叫びに近い声で誰かに呼ばれた。
「あ、愛巳!」
こっちに向かって人混みをかき分けてくるのは間違いなく愛巳だ。
「もぉ、私をおいてかないでよ〜」
はぁ、はぁ、と息を切らして笑顔でそう言う愛巳。
なぜか愛巳の目は少し赤く充血している。
朝はそんなことなかったのに。
「あ、あぁ、ごめんな。また合流できてよかった」
光君はそう言うと少し気まずそうに目を愛巳からそらした。
私も、愛巳の気持ちを知っておきながら酷い事したと思う…。
私の気持ち愛巳は知らないからいい気はしないよね…。
ううん。
知っていたとしてもいい気はしないに決まってる。
「いいよ、別に!奏子達さがそーよ!」
そう言うと愛巳は歩き出した。
「あれ?誠は?」
光君が思い出したように誠君の姿を探す。
「誠ならサッカー部の人達に捕まってたよ」
こっちを見ずに愛巳は答えた。
微妙に距離のある愛巳と私達。
やっぱり愛巳怒ってる?