君との距離は1メートル 【完】
ブワッと一瞬、強い風が吹いて髪で前が見えなくなった。
「あ…」
「え…?」
あ…っていう自分の声じゃない声が聞こえて声のした方向を向く。
真っ暗だから分からないけど明らかに隣の家のベランダに誰か立っている。
「ギャッ…!!!」
幽霊のようなシルエットに完全に驚いてクルッ回って部屋に戻ろうとしたけど…
「ちょ、まって!!!」
後ろから引き止める声に言われた通り待ってしまった。足を止めてゆっくり振り返る。
すると、それに合わせて月を隠していた雲も移動してだんだん周りが月の光で明るくなってきた。
あ。
完璧に月が姿を現した時、声の主も分かった。