君との距離は1メートル 【完】


「ね、せっかくだから友達になろーよ」



男の子はそう言うとベランダの端まできて手を差し伸べてきた。

今時こんな友達の作り方あるんだな、なんておかしく思いながら私も男の子の方まで歩いて握手した。



「笹野杏奈。よろしく」


「池田光。よろしく」


ブンブン、と手を振りあってお互い笑った。


「せっかくだから色々話したい!!」


午後9時を回るが、そんなの関係ない。

「ああ、いいよ。そしたらそっち行くわ」


池田くんはそう言うとベランダのヘリに立ってぴょん、とこっちのベランダに飛び移ってきた。1メートルを超えて。

「危な!!飛び移っちゃダメでしょ!」


いくらなんでも万が一のことがあったら…。

「だってたかが1メートルだし?大丈夫だよ。それにこっちのほーが話しやすいもん」

池田くんはそう言うとベランダの壁に寄りかかって座った。

私も隣に座る。
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