君との距離は1メートル 【完】
「うん…俺もなんだ」
「………え?」
数秒思考が停止してしまっていたが、やっと理解できた。
「あれ?気づいてなかった?」
誠がニヤッと俺の顔を見てしたり顔をする。
「知らねーよ!言われてもないんだし」
いや、ちょっとは誠も杏奈のこと好きなのかと思ってたけど…やっぱりそうなのか。
どういうことだ!そして誠はなんで俺が杏奈を好きってわかるんだ。
「光が杏奈のこと好きなのは分かるよ。
だてに長い事一緒にいるわけじゃないし」
誠はベランダから見える星を仰いだ。
誠もやっぱり杏奈の事が好きだったんだな…。でも、今まで深くは考えてなかったかも。
杏奈のことを好きな人がいるって。
でも、意外と身近にいるんだ。
「初めて喋った時から、いい子だと思って。素直な子だとも思った。
出会ってすぐだけど好きになれたんだ」
きっと杏奈のことに違いない。
誠がポツリポツリと話し出す。
「たとえ叶わないとしても、クリスマスに告白しようと思ってる」
「え…」
星空を見る澄んだ目を誠は俺に戻した。
「俺の事を好きじゃないと思うからーってか、好きじゃないから杏奈は。
だから叶わなくても伝えるだけはって思ってさ」
ははっと小さく笑う誠。
笑ってるけど、目はどことなく悲しそうだ。
それぐらいわかるよ……。