君との距離は1メートル 【完】
「そ…か」
なんて言ったらいいんだろう?
言葉が出てこなくてそんなことしか言えなかった。
「光は?どうすんの?」
じっと見つめてくる誠の目にいたたまれなくなってぱっと目を反らす。
「俺は…まだ、告白する気はない…よ」
「ふぅ〜ん」
納得したのかしてないのか何とも言えない声色で誠は言った。
「でも、もし俺の告白が成功したら光はそれでいいの?」
心なしか冷たい声の誠…。
そんなのーー
良いわけないじゃん。
「それは杏奈の答えだから。仕方ないってか、それはそれで納得するしかないし」
でも、告白する勇気なんてないから。
こう言うしかないんだよ、俺は。
「……そっか。とにかく俺はクリスマスに告白してみるから。それだけ言いたかっただけ」
誠はスクっと立つと、あ!と言って俺を見下ろした。
「光、自分の事を思っている人が身近にいる事を忘れんなよ。
傷つけちゃいけない人は好きな人以外にもいるんだからな」
「お、おう…」
「じゃーな」
誠はそれだけ言ってドアを開けて部屋から出て行った。