君との距離は1メートル 【完】
午後4時ごろ。
私はフルート教室があるので奏子と一緒に家を出た。
「奏子、ありがとう。私ちゃんと愛巳に言うね」
家の前で奏子に向かって宣言する。
奏子はにっこりと笑って頷いた。
「うん。もしかしたら素直に杏奈を応援できないこともあるかもしれないけど、愛巳と同じように杏奈の恋も応援するよ」
私に向けて奏子はガッツポーズをした。
そんな姿を見て涙腺がさっきから緩みっぱなしだったので一気に崩壊した。
「うぅっ、…か、かなこぉ〜〜っ!
あ、ありっー…ありがとうっ!!」
「んもー!泣かないでよぉ〜」
突然泣き出した私の背中に手が添えられたのを感触で感じて
奏子の鼻をすする音を聞きながら私は
涙を思う存分流した。