君との距離は1メートル 【完】
「あ〜あ……私の片思いもここまでかぁ」
愛巳は公園に戻ってブランコに座った。
杏奈が来なければ、私に少しは希望があったかもしれない。
ううん。それは無い。
だって、ずっと一緒にいたのにあんな顔をさせたのは知り合って間もないけど杏奈で、
10年以上一緒にいても、運命の赤い糸っていうものには勝てないのね。
「…っう、う、うぅっ」
光が杏奈を好きな事も知ってる。
聞かないけど絶対そう。
そして杏奈もーーーーー
「おめでとう、2人とも…」
まだくっついていない2人を勝手に祝福する。
止まらない涙を拭うことなく1人で流し続けた。
「うっ、うっ…ひっ、光ぅぅ…」
大好きな人の名前をこんな思いで呼ぶのは、もうきっと、これが最後だよね?
クリスマス…光、その日だけ私のワガママ聞いてよね?
ちゃんと、その日に私の片思いに終止符を打つから。
そしたら、光は、光の大好きな人の元へ行ってください。
私の最後のワガママ。クリスマスを一緒に過ごしてほしいこと。
杏奈と光には悪いけど…その1日だけ、私に頂戴ね?
ーーーーー
ーーー
愛巳が公園で涙を流してたことも何を思っていたのかもなんて、
私も奏子も光君も…誰も知ることはなかったんだ。