君との距離は1メートル 【完】
「なに?」
若干背が小さめの女の子とその後ろに2人程付き添いできたような女の子ー
ー恐らくうちのクラスじゃない
が、こっちを見てきた。
「あ、あのぉ、一緒に写真撮ってくれませんか?」
背の小さい子は懇願するような上目遣いで見てくる。
「写真?別にいいけど…」
一緒って事は、俺も写るってことだよな?
シャッターを切る方じゃないんだよな?
「やった!!あ、須藤君シャッター押して!」
ぱぁっと目を輝かせて女の子は誠にカメラを押し付ける。
「ったく、これだから光のやつといると……」
ブツブツと文句を言いながらもシャターを切る準備をする誠。
「あ、ありがとうございましたっ!!」
撮れた写真を確認すると女の子はパタパタと走って帰ってしまった。
「俺と撮って何が楽しいんだ…?」
別になんの接点もないと思うんだけど。
俺の独り言を聞いた誠は隣ではぁ?!っと声を荒げた。
「お前マジむかつくな!そのモテる要素分けろよ」
「は?別にモテてるわけじゃねーよ」
俺の反論に誠はフン、と鼻を鳴らした。
「まぁ、杏奈ちゃんと両想いにならないとモテても意味ねーもんな」
皮肉たっぷりの誠の言葉に顔が熱くなる。
「なっ!お前には関係ないだろーが」
直ぐに反論はしたけど
でもあながち間違ってないんだ。
好きな人から好きになってもらわなきゃ意味がないんだよ。
最近は、告白してくれる子が杏奈だったらいいのにとか考えてしまう。
そんなの、告白してくれている子からしたら最低だと思われるような事だけど、
自分でもどうしようもないんだ……。
好きになったら見えてくるのはその子ばっかりだから。