君との距離は1メートル 【完】
「…う、う〜…ん」
杏奈がうめいて身をよじらせた。
その瞬間にハッとして伸ばした手を止める。
あとちょっとで杏奈の頬に触れそうだ。
な、俺…何して…。
さっと手を引っ込めてベッドから腰を上げる。
好きな人がそこにいたら、触れたくなるのは当然じゃないか?
好きな人にもっと
近づきたい、一緒にいたい、触れたい。
自分がしようとした事への後ろめたさと
どうしようもない気持ちが入り混じる。
ふと壁にかかったカレンダーを見る。
もう11月も下旬となって、あっという間に12月がくる。
クリスマスには、誠は告白するんだよな…。
時間がないんだ。
俺には誠の告白を止める権利もないし、止めようとも思ってないけど…
杏奈が誠を選ぶなら仕方ない。
でも、俺も伝えなきゃな。
心の中でまた自分にいいきかせた。