君との距離は1メートル 【完】
ホー…ホー…
うわぁ、やっぱり先生の音綺麗だなぁ〜。
美春先生の音を隣で聴いて合わせる。
いくら頑張っても真似はできない甘い音色。
「もっと太くて暖かい息を流し込んで」
ロングトーンを続けていくと、だんだん音が一つになっていく。
「おし!いい感じね!それじゃあ今日はこの曲やろうか」
美春先生は満足そうに言うと沢山の楽譜が並べられている棚から一冊とりだした。
「ソナ…チネ?」
「そう、難易度はCだから難しいわよ」
C?!
そんな難しいの?!
「い、今の私に出来ますかね?」
まだ中級の楽譜しかさらったことがない私にいきなりこんな難しいの出来る?!
「私ができると思うから出してるのよ。
やるの?やらないの?」
美春先生は楽譜を私の前に差し出した。
も、もしかして、私、美春先生から
期待されてたりする?!
じっと見つめてくる先生の目を見つめ返して
楽譜に手を伸ばした。
「やりますっ!!」
やりきって美春先生に褒めてもらいたい!!
「よろしい。じゃあ帰ったらしっかりさらっておいてね」