君との距離は1メートル 【完】
「うーんと、そこ!」
棚の一番上を指差す。
「…どうしたの?」
光君がこっちをみたまま固まって動かない。
「ふふ、杏奈待って」
光君は微笑を漏らすと一旦お皿をテーブルに置いてテイッシュを一枚とってこっちにきた。
「あ、え?」
何がなんだかわからず隣にきた光君の顔を見上げる。
「ソース、ついてるよ」
光君はニコッと笑って自分の左の口の端を指すと
そっと手を私の顔に添えた。
「う、うそっ!いつから…」
恥ずかしい!恥ずかしい!
真っ赤になってるだろう顔を手で押さえたいけどスポンジもって泡だらけだし。
「ほら、拭いてあげるから動かないで」
光君はテイッシュの端を水で少し濡らして
私の口を拭き始めた。
「じ、じ、自分でふけるっとぅえ!」
「喋んないで!拭きづらいじゃん」
動く私の顔をしっかり手で押さえるとちょっと乱暴に拭かれた。