君との距離は1メートル 【完】
「…ん、え?」
何を言ってるの?とでも言いたげな顔で首をかしげる。
「もう、ベランダで会うのやめよ。愛巳とかだって困るし。
隣だから会おうと思えば会えるしわざわざ飛び越えてこなくてもいいじゃん」
「え?なんでいまさらそんなこと言うんだよ」
ムッとした表情になった光君は一歩こちらに詰め寄った。
ひるんじゃダメだ!!
後ずさりたい気持ちをこらえて光君の目を見つめ返す。
「私も最近フルート教室が遅いし。LINEもあるんだよ?
もう毎日会わなくてもよくない?」
なるべく穏やかな口調でなだめるように光君に話す。
これは全て愛巳にバレたら…なんていう恐怖心から言ってる言葉。
私、最初からいけない事だと思ってたのに。
今になって言っても、そりゃ光君は怒るよね…。
「ねぇ、いきなりどうした?なにか会うとまずいことでもある?」
光君は怪訝そうな顔のまま聞いてくる。
そんな!言えるわけないのに!!
でもそんな私の事情は光君には関係ないもの。