君との距離は1メートル 【完】
き
気まずい…。
隣に座ってから無言の時間が続いている。
きっとそんなに時間が経ってるわけではないけど
俺にはこの無言の時間が何時間にも感じられた。
「昨日…」
ボソッと、愛巳が隣で喋り始めた。
ドキッとして一瞬体がビクッとした。
「昨日…夜、どこにいた?」
「よ…る?」
心の中に罪悪感が芽生えてきた。
愛巳が来ていたのに気付かないふりしてしまったこと。
「杏奈のとこにいたんだ。夜ご飯食べてた」
隣で愛巳の肩がピクッとしたのが見えた。
「私ね、昨日光の家に行ったんだけど…
居なかったのはそういうことかぁ」
いくらか声のトーンが上がった愛巳にホッとして横を向いた。
「えっ?!愛巳?!」
なんでっー
「なんで泣いてんだよ」
愛巳は笑いながら涙を流してこっちを見た。
「ふふっ、私ね、今日は光に伝えなきゃいけないことがあるんだ〜」
トン、とベンチから立って俺の目の前に来た。
愛巳の顔を見上げて呆然とするしかなかった。
なんでいきなり泣いてるんだ?
俺が何かした?
「本当はクリスマスに言おうと思ったけど、もういいの。
どうせ変わらないなら今でもいいって。
きっとクリスマスは光の方が大変になると思ってね!」
な、何を言ってるんだろう…。
愛巳の言ってることが何にも理解できずポカーンとしてると
愛巳はフッと笑って
「好きだよ、光」
と言った。