君との距離は1メートル 【完】





「へ?今更…なに?」




好きって…従兄妹で、もちろん家族同然で、あたりまえのことをいまさら…。




「ば、ばっかじゃないの?!ほんっとに何もわかんないのね!

私の言ってる好きは異性として!」




愛巳は眉を吊り上げて怒り出した。




ってえええ?!!




「う、嘘だろ?!」




「ふざけんな!嘘で泣いて告白する女の子がどこにいんのよ!」




はっとして愛巳の顔をもう一度よく見ると



沢山の涙を流してこっちを見ていた。




今まで告白してきてくれた人と同じ目。




恋している人の目。





いつから?愛巳は俺を思っていてくれたんだろう?





ずっと気付かなかった俺は、1番近くにいた人を傷つけてしまっていた。






スッとベンチから立って愛巳と向き合う。




愛巳は俺を見上げてまだ睨んでる。




「ご、ごめん。気付かなくって…」





「ほんっとバカ!バカバカバカ!


ずっと前から好きだったんだからぁっ」





うわ〜〜んと子供のように泣き出してしまった愛巳。






え!やばい!こうなった愛巳は中々泣き止んでくれないんだよな…。





「あ、本当にごめん。とりあえず落ち着いて」




おろおろと愛巳をなだめて泣き止ませるのに徹した。




「いいよ、もう…。振られるって分かって、好きな人がいるって分かって告白してんだから!!」



「へ…?」





好きな人がいるって…そうだ!!




「なに?前に聞いたじゃん。


杏奈のことが好きなこと」





「そ、そうでしたね…」





愛巳は泣くのをやめてふふっと笑った。





いくらか安心したけど、今はそれどころじゃない!




恥ずかしい!忘れてたし…。



「誠も杏奈の事好きみたいだし…クリスマスに告白するらしいじゃん?」




「うん」





あ、知ってんだ。と驚いた目で愛巳は見てきた。




「直接、誠から話されたよ」





急に家に来たあの日。滅多にあんな事がない誠だからどんな急用かとおもったら。



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