君との距離は1メートル 【完】





「あーーんな!今日空いてる〜?」





「っうわ!」






奏子が背中に飛び乗ってきて覗き込んできた。





「う、うん。今日はフルート教室ないの!」






美春先生が旅行に行ってるから…。





「そしたら!2人であそこのカフェいこ!」




「あ、いいよー!」



初めて2人で行ったカフェはすっかりお気に入りのお店になった。







「あ、いいな〜今度私もいきたーい」




トイレから戻ってきた愛巳が席につきながら羨ましそうに言った。




「今度遊ぼーよ!クリスマスは?!」






奏子が目を輝かせて提案する。


クリスマス…は…。




ちらっと愛巳を見ると目があった。




「奏子っ!クリスマスはダメだよ!」





すっかり忘れてる奏子にボソッと小声で言う。





「え?あ…そっか!」




ハッとした顔をした奏子はすぐに愛巳にごめーんと謝った。




「頑張ってね?愛巳!」



きっとうまくいくよ!と思いながらガッツポーズをとる。





「あ…うん。ありがと…」




あれ?


いつもみたいにはにかみながら頑張るね、とか言うと思ったらなんか自信なさげだな…。




「大丈夫だよ!上手くいくっー」






あっ!しまった!



「え?どうして?いいの杏奈?そんな応援するなんて可笑しくない?」




やっぱり突っ込まれた…。言葉をのみこんだから気づかれなかったかなと思ったのに。




諦めたことを言ってなかったのに上手くいくよ、なんて私が言うのは可笑しいことだもん。




怪訝そうな顔をする愛巳になんて言ったらいいのか…。






「えと、その…」




墓穴を掘るってこういうことなんだ…。



今初めて実感したよ。




「ちゃんと説明してよ〜〜」




ズモモモモと愛巳から凄いオーラが漂う。




「は、はい〜〜〜!!」





それからお昼休みは人気のない屋上に通じる階段に連行された。







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