君との距離は1メートル 【完】
「それより、どうして光君のこと好きじゃなくなったの?」
沈黙を破ったのは奏子で、首を傾げて聞いてきた。
そんなに突っ込まれるなんて…考えてなかったからな。
頭をフル回転させて考える。
「なんていうか、今は恋愛よりフルートの方に熱が入ってて」
もっともでしょ!しかも嘘でもないしね!
「それで、きっぱり諦められたの?」
「うん、もちろん」
まだ疑わしげな奏子の顔。
私はにっこりいつもの笑顔で答えた。
「…もし、まだ好きだと思うならその時は言ってね?」
やっと愛巳が喋った。まだどこか自信なさげな表情だけど…。
「うん、その時は言うから」
でも、そうなる事はきっとないよ。と心の中で付け足して。
「じゃあ、帰るか!」
パン!っと奏子が手を叩いてそれをアイズにお開きとなった。
私はこれでいい。
愛巳のためなら。