君との距離は1メートル 【完】



ガチャっと鍵の空く音がして笹野さんが窓を開けてくれた。


「おはよう」


「おはよう!びっくりしちゃった!どうしたの?」

そう笑いながらどうしたの?と聞かれて俺は思考回路が停止してしまった。


あれ?どうしてきたんだっけ…俺…

笹野さんになんとなく会いたいと思ったから、なんていかにも不審だろう…。


「いや、大変そうだし手伝えることがないかなって思って」


2秒ほどで考えて思いついた理由を言う。


「わー!嬉しい!カーテンとかつけるの届かなさそうって思ってたから助かる〜」


手をパチパチ叩いて本当に嬉しそうに笑う笹野さんにこっちまで笑みがこぼれる。


入って、と笹野さんが促したので新品の床に足を踏み入れた。

「お邪魔しまーす…」


中に入ると、段ボール箱の山々でまだ全く手が付けられてないようだ。


来て良かった。俺はほっと胸をなでおろした。
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