君との距離は1メートル 【完】
「うちんちおいで、杏奈」
奏子が横に来てそっと私の肩に手を置いて立たせてくれた。
「もうここ出ようか」
こくっと頷いて顔をおさえる。
泣き出した私はもちろん店内で目立っているだろう。
はやく出たい。
お茶代は飲んでいないのと常連客という特権で今回は見逃してもらえた。
それから少し歩いて奏子の家に着いた。
その間は終始無言。
「上がって?親はいないから」
奏子はそう言うと上がらせてくれた。
二階の部屋に案内されて入ると、ピンクで統一された可愛らしい部屋が目に着いた。
きっと奏子の部屋だよね?
「座っていいよ?」
奏子はクッションを床に置いてくれてどうぞ、と手で合図した。
「ありがとう…」