君との距離は1メートル 【完】




「で?なんでこんな我慢してるの?」




向かいに座る奏子の優しい口調は今の私にとってすごくほっとできる。




「私、前に言ったよね?好きって気持ちを大事にしてって。私の無くなってしまった気持ちのようにして欲しくないから」



優しく強く諭すような奏子に小さく頷く。



「私はただの片思いだったけど…。でも、杏奈はもしもって考えなかった?」





もしも?




訳が分からず頭をあげて奏子を見る。




「もし、光君が自分の事を好きだったら。光君が杏奈を好きだったら、って」




「な、何言ってるの?!」




もしもでもあり得なさすぎ!そんなの考えたことある訳ないよ!!



勢いよく言った私を見て奏子はクスリと笑った。




「もしも!もしもだよ。でもそう考えた時に両思いかもしれないのに自分から光君に片思いをさせようとしてるんだよ?

杏奈が諦めたら光君はまた片思いに戻るって事だよ?」




「そんなの、都合良すぎる考えだよ。

もしもなんてもしもなんだから…。
あり得ないからいいんだよ」



もし、両思いなら…






なんてみんなが想像できて光君を好きな人全ての人に言えることだもん。



光君を好きな人の中に諦めた人なんて沢山いるはず。私もその中の1人だよね。




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