君との距離は1メートル 【完】
「でも、泣くなんてやっぱり諦められてないんでしょ?好きなでしょ?」
奏子は少し強めの口調で真っ直ぐ私を見て言った。
「…うん。まだ、好きなの」
諦めたはずだった。愛巳とお似合いなんて分かってるんだから。
愛巳の恋を応援できればって思って吹っ切ったはずなのに。
どうしてこんなに好きが止まらないの?
頭の中に浮かぶのはいつだって光君で
いつだってあの日の事を後悔してる。
「なら、愛巳にちゃんと話さなきゃ。愛巳だって杏奈の好きな気持ちちゃんと分かってるんだよ?」
奏子は優しく手を握ってきた。
優しい言葉に心が揺れる。
けど、愛巳にベランダを超えて会うことの罪悪感を抱いたまま好きになり続けることなんて出来ない。
「私、愛巳にベランダであってること話してなくて。それでこの間ー」
愛巳が光君の家にきたあの日の夜の事。
奏子に細かく話していく。
奏子は頷くこともしないで真っ直ぐ私を見て話を聞いてくれてる。
「私はどうしたらいい?」