君との距離は1メートル 【完】
「それじゃあ、またね!ちゃんと愛巳に話すんだよ?」
奏子は最後までお母さんのように心配してくれて、
玄関まで来てもそればっか。
「ていうか、奏子は好きな人は?須藤君とか!」
そういえばお似合いだったな〜って思ってたんだよね。
須藤君の名前を出した途端ギクッとした硬い表情になった。
え?!もしかして?!
「なになに?!どうしたの?!」
帰ろうとしたけど踵を返して奏子に近寄った。
「じ、実は…この間告白されたの」
「えええー!!いつのまにっ!」
つい大きな声が出てしまい急いで手で口を抑える。
「学校にまで来てくれて。この間一緒に帰れないって言った時」
それって…あぁ、私が誠にウィーンの演奏会誘われた日か!
「待ち合わせって、須藤君とだったんだ〜」
今更すぎてただ驚くことしかできないよ。
「で?で?どうしたの?!」
ニヤニヤと頰が緩むのを隠しもせず奏子に詰め寄る。
「断ったよ」
「え」
さらっと奏子はなんでもないようにつげた。
「ええっ?!断ったの?あんなに雰囲気良さそうだったのに?!」
奏子って意外とお堅いのかな?!
あんなに仲よさそうにしてたのに…。
私ってばてっきり…。