君との距離は1メートル 【完】
『いや、まぁ普通に好きなのって言ったんだけど、好きな人いるからって振られちゃった』
好きな…人。
ズキっと心が痛んだ。
ずっと、愛巳の事を好きなんだと思ってたから…。
愛巳じゃなかったら、林丘高校の人?
『でも私、伝えられてよかったよ』
電話の向こうから愛巳の声が聞こえてハッとした。
「どうして?」
『従兄妹で私の気持ちなんて何も分かってなかったあいつに、今やっと言えたんだもん。
長い片想いをちゃんと終わらせて、従兄妹として、友達として仲良くしていくの。
それに、私の気持ちを知ってもらえただけで十分だよ』
明るいトーンで話す愛巳。
なんで…そんなに強いんだろう。
私なら振られたらもう光君とは顔も合わせられない。
振られても友達として…なんて出来るかな…?
『だから、今度は杏奈の番だよ!』
ちょっと力強い声になった愛巳。
『ちゃんと、好きな人に好きって言うんだよ』