君との距離は1メートル 【完】



『いや、まぁ普通に好きなのって言ったんだけど、好きな人いるからって振られちゃった』




好きな…人。






ズキっと心が痛んだ。




ずっと、愛巳の事を好きなんだと思ってたから…。



愛巳じゃなかったら、林丘高校の人?




『でも私、伝えられてよかったよ』



電話の向こうから愛巳の声が聞こえてハッとした。




「どうして?」





『従兄妹で私の気持ちなんて何も分かってなかったあいつに、今やっと言えたんだもん。
長い片想いをちゃんと終わらせて、従兄妹として、友達として仲良くしていくの。
それに、私の気持ちを知ってもらえただけで十分だよ』




明るいトーンで話す愛巳。



なんで…そんなに強いんだろう。




私なら振られたらもう光君とは顔も合わせられない。




振られても友達として…なんて出来るかな…?





『だから、今度は杏奈の番だよ!』




ちょっと力強い声になった愛巳。



『ちゃんと、好きな人に好きって言うんだよ』



< 309 / 384 >

この作品をシェア

pagetop