君との距離は1メートル 【完】
………好きな人。
光君の好きになる人。光君が好きになった人。
とりあえず、今は忘れよう。
謝ることが先。光君を突き放しちゃったのは私だから許されるかわからないけど…。
久しぶりに光君のLINEを開く。
電話をタップして携帯を耳に当てる。
『はい』
「杏奈っですっ」
何回めかのコール音の後光君が出た。
声はいつもの調子で安心した。
「ごめんね、今から会いたいです。無理なら大丈ー『会えるよ。そっち行くから。ベランダから行ってもいい?』
えっ、会ってくれるの?!
ホッとして胸をなで下ろす。
「いいよ。待ってるから」
いいよ、と言いながら立ち上がって窓を開けてベランダに出る。
『了解』
ツーツーと通話が終わった音がして携帯をポケットにしまった。
10秒もしないうちにベランダが開いた。
ドキッ…!!
暗くて顔はよく見えないけど、背の高さといい細身のシルエットは紛れもなく光君。
黒いシルエットは次第にこっちに近づく。
ドキ、ドキ…
近づくシルエットに合わせて鼓動も早くなる。
あ…
「久しぶり。杏奈」
私の部屋の明かりでやっと光君の顔が見えた。
変わらない。ただ、ちょっと背が伸びたかな?
暗いせいか明るい色の目と髪の毛は黒っぽい。
ただ、やっぱり誰が見ても
かっこいいよね
と口を揃えて言うだけあって整った顔立ち。
それに…
優しい性格。人気者なだけあるよね。