君との距離は1メートル 【完】
「中に…入る?」
私は遠慮気味に自分の部屋を指した。
でも、光君は横に首を振って微笑んだ。
「ここでいいよ。そっちにはいかない。これで話そう」
1メートルの距離。
これが私達の実際の距離なのかな?
でも、もっと遠いんじゃないかな?
「分かった。ごめんね、ありがとう」
少しホッとしてこわばった体をほぐす。
「話し、なんだけどね」
緊張で声が震える。
私、しっかり…!!
「本当に、あの日はごめんなさい」
私は一歩下がって深く頭を下げる。
数秒してから頭を上げて光君を見つめる。
表情は変わらない。ずっと真顔。
でも、まっすぐ私を見つめてる。
「実は、愛巳が光君を好きなの知ってて、知りながらも会うの良くないって思って…」
なんて言ったらいいんだろう。
言葉がまとまらなくて焦る。
「で、でも奏子に言ったらそれは愛巳を信用してない事になるみたいに言われて…。それもそうだと思って。
だったらちゃんと仲直りしたいと思いまして…」
嫌な汗が流れてるきがする。
ぜんっぜん話はまとまらないし伝わってるのかな…。
「つ、つまり、ごめんなさい。と、良ければ仲直りをして下さい」
つまり、で話しをまとめてもう一度頭を下げる。
光君が何か言うまで頭は上げない。