君との距離は1メートル 【完】
ぱっと体を離してくれたけど遠野さんは右の手を私の右肩に回して引き寄せて歩く。
正直歩きづらいんだけどな…。
なんでこんなに密着して歩かなきゃいけないの?
遠野さんの考えてることがわからなさすぎる。
「こんばんは。杏奈を借りてたよ」
光君の前まで行くと遠野さんが喋り出した。
あ、杏奈?!
なんでいきなり呼び捨て?!
「…何してたんです?こんな夜遅くまで2人で」
冷たい目で遠野さんを見る光君。
心なしか声まで冷たい。
「別に?君に関係ないでしょ?俺と杏奈の関係なんて」
と、遠野さん??
「ちょっ「ね?杏奈」
物凄い誤解を招きそうな発言に口を挟もうとすると思いっきり遮られた。
ね?じゃないです!!
「社会人の方でしょうか。時間も時間だし、遅すぎないうちに家に送り届けるのが常識じゃないですか?」
光君のイライラした声に若干怒ってる顔。
中々見たことない、こんな光君。
「ご心配なく。家の方にもちゃんと了解を得ているよ」
ニコニコと楽しそうに笑う遠野さん。