君との距離は1メートル 【完】





12月25日




今日は誠と水族館。


10時に待ち合わせで現在9時半。


早く着きすぎたかな…。




駅の前で立ち尽くすこと15分。




あ、あれは…。



ジーンズに上はダッフルコートを着てる男の子。


誠だ。




「ごめん、待ったよね?」




私と分かると誠は駆け寄ってきた。



「ううん。全然。行こっか!」



「うん」



改札を通って電車を待つ。




「今日はありがとな、付き合ってくれて」



誠がふっと微笑んだ。



「こっちこそ!水族館楽しみだったもん」



「なら良かった」



目を細めて笑う誠に笑い返す。











それから電車で4駅先の水族館のあるとこに降りる。



やっぱり新しいだけあって沢山人が降りるな。

「杏奈、はぐれんなよ」




「うん」



ぎゅうぎゅうと人混みに流されないように誠のコートの裾を握る。



「ぷはー!!やっと出られたー!」




改札を出てやっとの事で人混みから抜け出せた。



「あ、裾ごめんね」




ついついぎゅっと掴んでたせいでコートに変な跡がついてる。




「いや…大丈夫」



「?何赤くなってるの?」




プイッと顔を背けた誠だけど赤くなった耳は隠しきれてない。




「そんなに暑かったかな〜?」



「うん、暑かった!!」





確かに人混みの熱気は凄いあったけど、赤くなるまで暑くないでしょ。


「ほら、いこーぜ」



誠はスタスタと水族館に向けて歩き出した。

え、そこ、おいてく?!



「まってよー!」
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