君との距離は1メートル 【完】
「あ、もう5時なんだ…」
時間がたつのは早くって、もう夕方の5時を回ろうとしていた。
大きな水族館は1日かけて回るのに良かったな。
ジンベイザメのぬいぐるみも買えたし。
「ねぇ、誠どうする?」
「あ、うん」
ぼーっとしてる誠に話しかけるけど、
「誠?!」
「あ、ごめん!」
すぐにまた考え込むような表情になる。
「もうちょっと暗くなったらイルミネーションつくみたい。それ見て帰ろーぜ」
さっきより元気のない笑顔でそう提案してきた。
どうしたんだろ。イルカショーで水浴びて体調悪くしたかな?
「誠、体調悪い?大丈夫?」
歩く誠のコートの裾をまた掴んで立ち止まらせた。
「大丈夫だよ。ほら、行こう」
今度はいつも通りの誠の笑顔だった。
私…気にしすぎかな?
10分ほど並木道を歩いていると、パ、パと木に装飾されたイルミネーションがつき始めた。
「あ、凄い!つき始めをみれるなんて」
ちょっと感激しつつ並木道を進む。
「あとちょっと行くと、でっかいクリスマスツリーがあるらしいんだ」
誠はニコッと笑って楽しみだな、と言った。
誠、なんでそんなに詳しいんだろう?
全部調べてくれたのかな?水族館だってそうだし。
今日のためにイルミネーションのことだって…。