君との距離は1メートル 【完】
「誠、ありがとうね」
「うん?」
突然お礼を言いだした私に首を傾げる誠。
「だって、イルミネーションとか私知らなかったから。色々調べてくれてありがとう!」
「杏奈…」
誠は何か言いたそうに口を開いたけど、また閉じた。
「クリスマスツリー…あと少しだから…」
静かに言うと、また歩き始めた。
なんか、大人しいな。イルミネーションがそんな雰囲気にさせているのかもしれない。
「ほら、クリスマスツリーだよ」
「え、…わぁ…!」
誠の言葉に視線を上に向けると
並木道を出て目の前には大きなクリスマスツリーがあった。
色とりどりのイルミネーションで飾られているツリーは何よりも存在感がある。
「凄いね…」
ただそれしか言えなかった。
キャアと騒ぐより、静かに驚く。
クリスマスってそんな感じ。
「杏奈」
「うん?」
誠に呼ばれて視線を誠に移す。