君との距離は1メートル 【完】
私は強くなったんじゃない。
ズルいだけだ。
「だから、杏奈。もう一度光のとこ行って、自分から想いを伝えな?
それから、ちゃんと誠にも自分の考えを言うんだよ?」
愛巳は近寄って私の頭をポンポン、と叩いた。
「う…ん。ありがとう」
1人で考えて分からなかった。
何が正しいのか。だれも傷付かない方法を探してた。
でも、ちゃんと答えはでた。
例え誰かが傷付いてしまうとしても、それは長い長い目で見たときに1番良い方法だったよねって思える。
これが普通なのに。私には普通にできなかった。
でも、もう大丈夫だ。
「杏奈が幸せなら、私も幸せだよ。良かったね」
奏子がそっと後ろから抱き締めてきた。
冷たっ!!
手に冷たい何かが当たって見てみると、それは紛れもなく奏子から流れた涙だった。
「か、奏子!」
「おめでとう、杏奈。ずっと幸せでいて」
「ちょ、気が早い」
愛巳が苦笑して私も笑った。
でも、奏子はずっと泣きっぱなしだったけど。